1927年1月1日( -2007年11月22日)、フランス、マルセイユ生まれのバレエの振付家、演出家。古今東西の芸術を取り入れ、実験的な作品を次々と発表、バレエ界に革新をもたらし現代バレエ界の魔術師といわれる。スイスのローザンヌでベジャール・バレエ・ローザンヌ(モーリス・ベジャール・バレエ団)を主宰していた。1941年に14歳でバレエを始め、1945年には18歳でマルセイユのオペラ座でデビュー。ロシア・バレエ団のダンサー・振付家として有名なセルジュ・リファールの踊りから強い影響をうける。1945年、マルセイユのオペラ座にコール・ド・バレエとして入団。エゴロワ夫人、ルーザンヌ夫人、レオ・スターツのもとでダンスの教育を受けクラシック・バレエを体得したベジャールは、まずヴィシーでダンサーとしてのキャリアを開始し、ジャニーヌ・シャラ、ローラン・プティのもとで踊り、そしてロンドンのインターナショナル・バレエへ。1950年、スウェーデン映画『火の鳥』の振付をする。1951年にクルベリバレエ団に入団するが、翌年兵役のため帰国。1954年にジャン・ローランとともにエトワール・バレエ団(1957年にバレエ・テアトル・ド・パリに改称)を結成。55年、『孤独な男のためのシンフォニー』で一躍、世界の注目を浴びる。59年、ストラヴィンスキー『春の祭典』を発表。演劇の要素を取り入れた振付で、パリのテアトル・デ・ナシオンの振付部門でグランプリを獲得し、世界バレエ界の寵児となった。1960年にはベルギーの支援を得てブリュッセルで20世紀バレエ団を結成する。1974年にエラスムス賞を受賞。1987年に本拠をスイス・ローザンヌに移し、モーリス・ベジャール・バレエ団を創立。ベートーヴェン『第九交響曲』やベルリオーズ『ロメオとジュリエット』、ワーグナー『ニーベルングの指環』など傑出した大作を次々に発表、世界各地で大成功を収める。特に、故ジョルジュ・ドンが踊ったラヴェル『ボレロ』は人々を魅了した。1988年にベルギー王国より王冠勲章グラン・オフィシエ、1993年には第5回高松宮殿下記念世界文化賞、1995年にはヨハネ・パウロ2世の手からトゥギャザー・フォー・ピース・ファウンデーション賞など数々の賞を受賞。様々な作品を通じて、バレエのみならず、他の芸術、さらに文学、思想などの世界にまで多大な影響を与え20世紀を代表する振付家としての地位を確立する。国際的に著名な哲学者である父ガストン・ベルジェの影響でインド哲学、日本の禅も研究。心の遍歴は作品の原点ともなっている。また、日本文化にも造詣が深く、三島由紀夫をテーマにした『M』、「仮名手本忠臣蔵」を基にした『ザ・カブキ』などを振付けている。2002年には若いダンサーのための新バレエ団「カンパニーM」を設立する。2007年11月22日、スイス・ローザンヌの病院で死去(享年80歳)。