『だれもが愛しいチャンピオン』は知的障がいを持つ人々の世界が魅力的に描かれています。彼らは誠実に、そして自然に生きています。また、基本的に何に対しても偏見を抱かず、うらやましいほど率直に思っていることをそのまま口に出します。本作では、そんな彼らならではの、ハチャメチャに楽しく人間味にあふれた冒険が繰り広げられます。
この映画はユーモアと愛しさが爆発的に混ざり合った作品でもあります。純真で驚くような解釈で現実を捉える登場人物たちがユーモアを生み出し、彼らが画面に登場した瞬間に見せる最初のしぐさから愛しさがあふれ出てきます。
彼らの澄み切った心や純粋さ、寛大さ、そして桁外れの心の広さには誰もが恋に落ち、心を動かされてしまいます。実際に障がいを持った10人が出演することで、作品の真実味が増し、コメディでありながら共感を呼ぶこと間違いなしのストーリーに1000倍感情移入できるようになっています。より論理的な視点で歴史を捉えてみると、初めは障がいを負っていると思われていた人が最終的には最も“熟練した人”だったと分かることがあります。その逆もまた然りです。
そういう意味では、この映画が導き出す結論は次のようなものになると容易に想像できるでしょう。
「あなた方の中で自分には一切障がいがないと思う者が、最初に石を投げなさい」。
『だれもが愛しいチャンピオン』は楽しく、シンプルで、親しみやすく、他にはない、鮮やかで生き生きとした映画です。
世の中を違った視点で描き、新たな一面を見せてくれる作品であり、私たちの心に長く残る作品になることでしょう。