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ナチス・ドイツによって約56万人ものユダヤ人が殺害されたと言われるハンガリー。
終戦後の1948年、ホロコーストを生き延びたものの、家族を喪い孤独の身となった16歳の少女クララは、両親の代わりに保護者となった大叔母にも心を開かず、同級生にも馴染めずにいた。そんなある日、クララは寡黙な医師アルドに出会う。言葉をかわすうちに、彼の心に自分と同じ孤独を感じ取ったクララは父を慕うように懐き、アルドはクララを保護することで人生を再び取り戻そうとする。彼もまた、ホロコーストの犠牲者だったのだ。だが、スターリン率いるソ連がハンガリーで権力を掌握すると、再び世の中は不穏な空気に包まれ、二人の関係は、スキャンダラスな誤解を孕んでゆく   
癒えることのない心の傷を抱えた者たちが年齢差を超え、痛みを分かち合いながら寄り添う。彼らが再び人生と向き合う姿を、節度をもって叙情的に描く名作が誕生した。
少女クララを演じたのは、これが映画初主演となるアビゲール・セーケ。16歳にして家族を喪ったクララの悲しみや怒り、諦念をリアルに表現し、「アルドの心の翳りに寄り添い続ける演技が感動的」(バラエティ誌)「心に傷を負った思春期の少女を演じるセーケが素晴らしい」(ハリウッド・レポーター誌)と評される名演を披露。見事、ハンガリー映画批評家賞最優秀女優賞を受賞した。ハンガリーを代表する名優カーロイ・ハイデュクが、クララを支え無償の愛を注ぐアルドに扮し、寡黙ながらふとした仕草やまなざしに深い思いやりを感じさせる繊細な演技で、ハンガリーアカデミー賞およびハンガリー映画批評家賞で最優秀男優賞を受賞。
これまで短編映画でその演出手腕が国内外で高い評価を受けてきたバルナバ―シュ・トートが監督を務め、ベルリン国際映画祭金熊賞受賞作『心と体と』のプロデューサー、モーニカ・メーチとエルヌー・メシュテルハーズィが製作を手がけ、孤独な男女の心の結びつきを丁寧に描く名作をふたたび世に送り出した。
第二次世界大戦終戦後の1948年、ハンガリー。 ホロコーストを生き延びたものの家族を喪った16歳の少女クララは、両親の代わりに保護者となった大叔母オルギと暮している。大叔母に心を開かず、同級生とも打ち解けず、孤独な日々をおくるクララ。そんなある日、クララは寡黙な医師アルドに出会う。42歳の彼は、勤務先の病院とユダヤ人会の孤児院、そして自宅を行き来するだけの毎日を過ごしていた。 言葉をかわすうちに、アルドの心に自分と同じ孤独を感じ取り、父を慕うようにアルドに懐くクララ。そんなクララを見て、大叔母オルギは「私は勉強をみてあげることもできないから」と、クララのもう一人の保護者になってほしいとアルドに懇願する。「明るい父親にはなれないが、いないよりはましかも」とアルドは快諾し、クララは週の半分をアルドの家で過ごすという不思議な同居生活が始まった。ゲームに興じたり映画を観に行ったり、殺伐としていた彼らの日々は徐々に輝きはじめる。 そんななか、ふとした会話をきっかけにアルドが動揺し、これまで明かさなかった秘密をクララに打ち明ける。彼もまた、ホロコーストによって大切な人たちを喪った犠牲者だったのだ。 共に心に傷を抱えながら、寄り添うことで徐々に人生を取り戻していくクララとアルド。 だが、スターリン率いるソ連がハンガリーで権力を掌握すると、再び世の中は不穏な空気に包まれ、党に目をつけられた者たちが次々と連行されるなど緊張が増していく。そんななかクララとアルドの関係は、スキャンダラスな誤解を招いてしまう――。

  • 1979年1月29日、ハンガリー・ベーケーシュチャバ生まれ。ブダペスト演劇映画大学を経て演劇の道へ。シェイクスピアの「マクベス」マクベス役、「トロイラスとクレシダ」ユリシーズ役など、数多くの舞台を踏む。映画『ハンガリー連続殺人鬼』(16/アールパード・ショプシッツ監督)では、実在した連続猟奇殺人者ペーテル・コヴァーチをモデルにした主人公に扮し怪演。本作の演技により、2020年ハンガリーアカデミー賞最優秀男優賞、2020年ハンガリー映画批評家賞最優秀主演男優賞を受賞した。
  • 1998年、ドイツ・ヴァハテンドンク生まれ。これまで出演したおもな映画作品に、『ハンガリー連続殺人鬼』(16/アールパード・ショプシッツ監督)、『X(エックス) 謀略都市』(18/カーロイ・ウッイ・メーサーロシュ監督)などがある。映画初主演となる本作での演技で、2020年ハンガリー映画批評家賞最優秀主演女優賞を受賞。2020年ベルリン国際映画祭開幕中にバラエティ誌が選ぶ「ヨーロッパの注目映画人10人」に選出された。現在、ブダペスト演劇映画大学に在学中。
  • 1961年5月9日、ハンガリー・トポナール生まれ。ブダペスト演劇映画大学卒業。数多くの舞台・映画で活躍するハンガリーを代表する女優。2002年、映画「A ház emlékei」(ジグモンド・デジュー監督)でハンガリー映画週間最優秀主演女優賞を、2001年、優れた舞台芸術関係者に国から贈られるヤーサイ・マリ賞を受賞し、2016年には国からハンガリー優秀芸術家賞を授与された。そのほか映画出演作に『タクシデルミア ある剥製師の遺言』(06/パールフィ・ジョルジ監督)など。
  • 1983年9月9日、ハンガリー・ミシュコルツ生まれ。ブダペスト演劇映画大学を経て、おもに舞台で活躍。2006年~2007年はソルノクのシグリゲティ劇場、2007~2009年はマラディペ劇場、2009年~2011年はフォルテ・カンパニー、2013~2014年はミシュコルツの国立劇場に、それぞれ所属していた。2014年からフリー。2007年、カトナ・ヨージェフ劇場での舞台で、舞台芸術批評家賞最有望新人賞を受賞。
  • 1990年、ハンガリー・ブダペスト生まれ。ブダペスト演劇映画大学在学中から数々の劇場やダンスカンパニーの公演のオーディションを受け出演を果たした。卒業後は舞台俳優として、また、ダンサー、振り付け師としても活躍している。映画出演作に『心と体と』(17/イルディコー・エニェディ監督)などがある。
1979年1月29日、ハンガリー・ベーケーシュチャバ生まれ。ブダペスト演劇映画大学を経て演劇の道へ。シェイクスピアの「マクベス」マクベス役、「トロイラスとクレシダ」ユリシーズ役など、数多くの舞台を踏む。映画『ハンガリー連続殺人鬼』(16/アールパード・ショプシッツ監督)では、実在した連続猟奇殺人者ペーテル・コヴァーチをモデルにした主人公に扮し怪演。本作の演技により、2020年ハンガリーアカデミー賞最優秀男優賞、2020年ハンガリー映画批評家賞最優秀主演男優賞を受賞した。
1998年、ドイツ・ヴァハテンドンク生まれ。これまで出演したおもな映画作品に、『ハンガリー連続殺人鬼』(16/アールパード・ショプシッツ監督)、『X(エックス) 謀略都市』(18/カーロイ・ウッイ・メーサーロシュ監督)などがある。映画初主演となる本作での演技で、2020年ハンガリー映画批評家賞最優秀主演女優賞を受賞。2020年ベルリン国際映画祭開幕中にバラエティ誌が選ぶ「ヨーロッパの注目映画人10人」に選出された。現在、ブダペスト演劇映画大学に在学中。
1961年5月9日、ハンガリー・トポナール生まれ。ブダペスト演劇映画大学卒業。数多くの舞台・映画で活躍するハンガリーを代表する女優。2002年、映画「A ház emlékei」(ジグモンド・デジュー監督)でハンガリー映画週間最優秀主演女優賞を、2001年、優れた舞台芸術関係者に国から贈られるヤーサイ・マリ賞を受賞し、2016年には国からハンガリー優秀芸術家賞を授与された。そのほか映画出演作に『タクシデルミア ある剥製師の遺言』(06/パールフィ・ジョルジ監督)など。
1983年9月9日、ハンガリー・ミシュコルツ生まれ。ブダペスト演劇映画大学を経て、おもに舞台で活躍。2006年~2007年はソルノクのシグリゲティ劇場、2007~2009年はマラディペ劇場、2009年~2011年はフォルテ・カンパニー、2013~2014年はミシュコルツの国立劇場に、それぞれ所属していた。2014年からフリー。2007年、カトナ・ヨージェフ劇場での舞台で、舞台芸術批評家賞最有望新人賞を受賞。
1990年、ハンガリー・ブダペスト生まれ。ブダペスト演劇映画大学在学中から数々の劇場やダンスカンパニーの公演のオーディションを受け出演を果たした。卒業後は舞台俳優として、また、ダンサー、振り付け師としても活躍している。映画出演作に『心と体と』(17/イルディコー・エニェディ監督)などがある。
1977年12月9日、フランス・ストラスブール生まれ。ブダペスト演劇映画大学で学ぶ。長編映画は、監督・脚本・出演・製作を務めた「Camembert Rose(原題:Rózsaszín sajt)」(09)以来、本作で2作目。2013年、監督・脚本を手がけハンガリー映画批評家協会賞最優秀短編映画賞に輝いた「My Guide(原題:Újratervezés)」は、Vimeoで視聴回数が180万回を超えるヒット作となる。「Chuchotag(原題:Susotázs)」(18)は70を超える国際映画祭で上映され、世界各国で30以上の賞を受賞、2019年の米アカデミー賞短編映画賞のショートリストに選出された。
この映画は、自分自身が悲しみに打ちひしがれながらも、壊れかけたもう一つの魂を救うために最後にもう一度立ち上がる人びとへの讃歌です。
ホロコースト以前やそのさなかの出来事を描いた映画はたくさんありますが、そこから生き延び、この世界に残された人びとの運命を描いた映画はあまりありません。
テルライド映画祭でこの映画を上映したとき、心に残る出来事がありました。
上映後に私のもとに一人の男性がやってきて、こう言ったのです。
「9年間勤務したイラクで心が壊れ、国に帰ってきました。私にとっての鎮痛剤のようなこの映画は、いま私が必要としているものです」と言ってくれました。この映画は、ホロコーストのみならずさまざまなトラウマに対しても癒やしとなるのかもしれない、そう思いました。
1967年、ブダペスト生まれ。ブダペスト演劇映画大学卒業後に、伝説的なドキュメンタリー映画会社「BLACK BOX」で映像作家として活動開始。2005年にエルヌー・メシュテルハーズィと共同でM&M FILMを設立。『人生に乾杯!』(07/ガーボル・ロホニ監督)が初のヒット作となった。2010年にINFORGとM&M Filmが合併し、INFORG-M&M FILMとなり、その第1作目となる「JUST THE WIND」(12)はベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞した。そのほかのプロデュース作品に、「BIBLIOTHÉQUE PASCAL」(10/サボルチ・ハイデュ監督)、ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞し、2018年米アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた『心と体と』(17/イルディコー・エニェディ監督)などがある。
ホロコーストの悲劇を扱った映画は数多いが、
強制収容所から生還した人びとを描いた映画はごくわずかだ。
心の奥底から自然に湧き上がる感情を
丁寧に描き、胸に迫る名演で綴る、
痛いほどに優しい傑作。
バラエティ
目が離せない!
慎ましやかで繊細な演技と演出に、
トートの監督としての力量を見せつけられる。
ハリウッド・レポーター
見事だ。そして、美しい。
私は、この映画がとても好きだ。
ウォール・ストリート・ジャーナル
カーロイ・ハイデュクとセーケ・アビゲールの魅力は群を抜いており、
トート監督が作り出す世界観を抜きにしたとしても、
彼らの演技だけで観る価値がある。
本作はまさに宝石のような映画だ。
The BURG
胸の奥深くにしまい込んだ感情を細やかに掘り下げ、
ソ連の支配下で静かに脅かされていく日々の生活を、
一つひとつ丁寧に描いていく。
仰々しく大げさなドラマに背を向け、
人生が少しずつ前向きに変化していくさまを映したトート監督は、
優美で洗練された演出の才を存分に発揮したと言えるだろう。
Cineuropa