Interview

パブロ・ラライン監督 インタビュー

Q:主人公のエマは何者ですか。彼女は人生に何を求めているのでしょう。

 エマはパラダイムです。彼女はさまざまなキャラクターを体現しているのです。娘、母、姉、妻、恋人、そしてリーダーであり、とてもパワフルでハッとするような美しい女性らしさを備えています。徹底した個人主義で、自分が何を望んでいるかを明確に知り、周りの人々を巻き込んで自分の運命を変えることができます。母親になりたい、家族を持ちたいと思っていて、おそらくエマを最も強く突き動かしているものは愛でしょう。

Q:エマと夫のガストンの関係性について語ってください。

 この夫婦は、職業、文化的な関心、ダンスなど、多くの共通点を持っています。お互いを深く愛しているのです。崩壊しているように見える夫婦ですが、結局のところ、本質的に結ばれていることがわかると思います。

Q:これまで監督は歴史を題材にした“過去の解剖”というべき作品を手がけてきましたが、この新作は“未来の解剖”と見なすべきでしょうか。

 未来の解剖だとは思いません。言わば“現在の証言”でしょう。この映画で見られる人々は、たぶん前世紀の終わりから今世紀に生まれ、踊ることにためらいを感じない世代です。彼らは自分の体や音楽で自己表現をしますが、それは私の世代とはまったく違います。これは私が初めて現在のチリを舞台にした映画で、自分と異なる世代を描いたものです。だから新鮮で、発見に満ちた魅力的なプロセスでした。

Q:主演女優のマリアーナ・ディ・ジローラモは、どのようにして見つけたのですか。

 マリアーナの写真を新聞で見て興味がわき、本人に連絡を取ってカフェで会いました。話し始めて10分後には、この映画の主演をオファーしていましたね。彼女からは強い謎や神秘性を感じました。知的、肉体的、感覚的に多層的な深みを持っているので、さまざまな角度から見たり理解したりできると思いました。マリアーナが演じたことで、エマのキャラクターに強い力が与えられたと思います。彼女が原動力になって、この作品が持つポップパンク・カルチャー的な興奮を観客に伝え、驚くほど魅惑的で挑戦的な未知の世界へと導くからです。

Q:ガエル・ガルシア・ベルナルとの新たな仕事はどうでしたか。

 ガエルはスペイン語圏における最高の俳優のひとりです。信頼できる優秀な男で、友人としても素晴らしい。彼は天才です。またガエルと一緒に仕事をできたことは、喜びであり名誉なことです。

Q:以前からレゲトンダンスに興味があったのですか。

 この映画を撮るまで、レゲトンに大きな関心があったとは言えませんでした。しかし製作の過程で深く知るようになり、本作に登場する世代の人々が皆、この音楽を聴く理由がわかりました。レゲトンのリズムは街にあふれています。強力なポップカルチャーとはそういうもので、そこにいる限り共生するしかありません。レゲトンダンスは文化的なエクササイズのようなもので、独自の道徳観や美学を備えています。そのことを理解し、学びを得て、興味を引かれるようになりました。今となっては大好きと言ってもいいほどです。